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美海はふと前を見た。
先頭ぐらいに人がいる。
柵に肘をついて海を見ている。後ろ姿から多分沖田と土方だろうと思った。
近藤はいない。
何話してるんだろ。
海風は相変わらず強くて聞こえない。
美海は二人に近寄った。
暗くて下が見えないため、手探りで歩く。
二人は気付いていないようだ。
時折、笑い声が聞こえる。【男女脫髮】髮線後移點算好?詳解原因&治療方法! -
カツン
「ぅわっ!」
美海は甲板の窪みに足をつまずかせた。
二人は一斉に振り返る。
トサッ……
「大丈夫ですか?」
「な…なんとか」
美海は苦笑いした。
間一髪で沖田が支えてくれたのだ。
「こんな時間まで看病か?」
「まぁ」
土方の質問に曖昧に答えた。
だってちょっと寝てたもん。
「お疲れ様です」
沖田が小さく笑った。
美海も軽く笑う。
「そういうお二人は何をしてたんですか?」
美海も柵に背中をもたれさせた。
「船に酔ったんだ」
土方はそう言ったが、彼も不安を紛らわすために外に来たのだろう。
「句でも浮かびましたか?」
あえて美海は茶化した。
「馬鹿野郎」
小さくゲンコツが飛ぶ。
「はははは!」
沖田が笑った。
美海は沖田を睨み付ける。
「あ。沖田さん。私が見てないからって夕食残したらしいですね」
「え…。それは、あの、あれですよ。船に酔って食べたら戻しちゃいそうなんです」
沖田の嫌いな刺身など、嫌いな物が多かったのもあるが、船酔いがあったのも事実だ。
美海はジロジロと沖田を見た。
「そんなんであの階段登れたんですか?かなりの角度がありましたけど」
「登れますよ!」
沖田は頬を膨らました。
美海は小さく笑った。
それから三人は何を話すこともなく、静かに海を見ていた。
お互い山崎のこと、これからのことは触れない。
今は触れたくない。
美海はふと芹沢やお梅、山南、坂本、伊東のお墓参りに行っていないなと思った。
最後に行けばよかった。
少し後悔する。
ゆっくりと目を瞑った。
波の音だけが確かに自分の耳に伝わる。
なんだか心が落ち着いた気がする。
外に出て正解だったかも。
「もうそろそろ、戻ろうかなぁ」
美海は背伸びをした。
「もう戻るんですか?」
「はい。すぐ戻るっていいましたし」
美海は苦笑いした。
「程々にな」
土方の言葉に美海は頷いた。
『頑張れ』と言わないのが彼らだ。
美海はまた急な階段を降り、山崎のいる部屋を目指した。
カチャ…
静かにドアを開ける。
「少しは気休めになったかい?」
椅子に座ったままの松本が聞いた。
「はい。山崎さんに変化は?」
「特にないよ」
それが良いのか悪いのか。微妙なところだ。
「私、この職についてここまで自分の無力さを感じたのは初めてです」
美海は言った。
「己の過信していたところが恥ずかしいです。結局機械がなければ人一人満足に助けられない」
美海は近くの椅子に腰を下ろした。
「助けるっていうのは、身体を治すことだけじゃないと私は思ってる。その人によって助けられることは違うんじゃないかな?」
山崎をチラリと見た。
「その人が最期に幸せって思えたら、それで助けたことになるんじゃないかな」
山崎さんの幸せ…。
それってなんだろう。
結局、二人で太陽が昇るまでずっと山崎を見ていた。
次の日。相変わらず船は暗礁に乗り上げることなく静かに運航している。
「ふわぁぁあ…」
美海は大きなあくびをした。
目の下には隈がある。
「美海くん」
「はい?」
ぼんやりと松本を見た。
「私が看てる間に朝食に行きな」
「いやいや。悪いですよ」
グゥ~
そう言った途端に美海のお腹がなった。
お互い沈黙する。
山崎の寝息だけが聞こえた。
「えっと…行ってきて」
「すいません…」
美海は頷いた。
のそのそとドアを開ける。
久しぶりに新鮮な空気を吸った。
「ふはぁぁ…」
再び大きなあくびをすると、伸びをしながら廊下を歩く。
「あ!おはようございます!」
「おはようございまーす…」
隊士とすれ違い、挨拶を交わした。
山崎の様子に変わりはない。
ガチャ
「…おはようございまーす」
美海は目を擦りながらドアを開けた。
洋式のドアの先には大きな和式の食堂がある。
「美海!」
原田が立ち上がった。
美海はにへらと笑う。
「………ぇえぇええ!?むがっ」
坂本は少しの沈黙の後、大声を発したため美海が口を塞ぐ。
「ちょっと!龍馬さん!」
「すまんすまん」
坂本はヘラヘラと笑っている。
「もう…」
少しシリアスな雰囲気だったのだが一気に崩れ去った。
「ほぅ…。しかし美海が未来から…それなら辻褄があうぜよ」
坂本は初めのころの違和感を思い出す。
坂本が驚いたのは初めの一声だけで、今度は納得したのか黙り込んだ。
思わず美海も黙る。https://carina.simplesite.com/ https://johnsmith786.mystrikingly.com/blog/7476c05089e https://www.minds.com/blog/view/253713763118686935 https://johnsmith786.livedoor.blog/archives/5232137.html
「ということは、新撰組が結成した辺りから来たってことか?」
しばらくの沈黙の後、坂本が口を開いた。
「はい。私は現代で医者をしていましたが手術後倒れて気付いたら京の街並みに倒れてたんです」
「そんなことって…」
あるのか…。
流石の坂本もこのような状況に陥った人物に会うのは初めてのようだ。
「そこで土方さんに怪しいからと屯所に連れて行かれたんですよ」
「医者とは…大したもんじゃ…。だから噂で新撰組の立花は的確な治療で人助けをすると…」
「は…はぁ」
噂になってるのかよ!
「未来の日本はどうなんじゃ!?」
さっき言ったとおり
「疑わないんですね」
この事実を何人かに伝えたがこの時代では疑われていない。
それだけ真っ直ぐな心を持った人が多いのだろう。
私って恵まれてるなぁ。
「当たり前じゃ!美海が言うんじゃよ!」
美海は笑った。「未来の日本は刀もないし、服も洋服にかわってますよ。こういう着物は着ません」
「え!?刀がない!?じゃあ銃の時代か!?」
「一般人は銃なんて持ちませんよ。今の見廻り組みたいな立場の人が持つんです。空には飛行機という人を乗せるものも飛んでいるし、異国に追い付いてますよ」
なんか現代が懐かしいなぁ。
「そうなんかぁぁ!?」
坂本は目を輝かせる。
「日本は国内では戦争もしませんよ。一時期は異国と戦争をしましたが、今は平和です」
「未来では異国と張り合えるぐらい成長してるんじゃねぇ!」
「寺子屋のかわりに学校と言うものが出来ていて龍馬さんはその教科書に載るほどの偉人になりましたよ」
「わしが有名になったんかぁ!?」
「はい。私は龍馬さんの先を知っています。言ったほうがいいですか?」
美海は少し悲しげな顔をする。
「いや。いいきに!未来はわからない方が楽しいぜよ!」
「そうですか…。例え、いつ死ぬか分かっていても?分かってたら防げるかもしれないじゃないですか!」
「美海。おんしらがやってるようにわしは自分の誠を貫く。死ぬまでに自分の役目が果たせたら十分じゃ」
「……そうですか…」
少し俯いている美海を坂本は微笑みながら見ている。
「心配せんでも大丈夫!わしが運命を変えてみせるぜよ。そう簡単には死なんきに!」
「はい!」
美海はにっこりと笑った。「で……。さっき別れ道で逃げたのって桂ですよね?」
しばらく良い感じの雰囲気だったのだが突然美海が切り出した。
「ぅえ!?あ…いや…あの…」
坂本は明らかに動揺している。
「まぁその様子を見るとそうなんですね。関係までは聞きませんが」
美海はジト目で坂本を見る。
“坂本。いいか?もしも俺のことを聞かれたら迷わず「広戸 孝助」と答えるのだ。今の偽名だ”
「ああああれは孝助!広戸 孝助ぜよ!」
「誰?それただの偽名でしょ?私から逃げるんだから私の知らない人なわけないじゃないですか。龍馬さん汗ひどいですよ」
桂ぁぁー――!全っ然通用してないぜよ!
「龍馬さんの才谷梅太郎ってのも偽名でしょ?」
わしのもバレてる!?
あ。そういや最初に言っちゃった…。
「あ…え……だー―!」
言葉に詰まりすぎでしょ…。
美海はなんだか龍馬が気の毒に思えてきた。
「まぁいいですけど。今日桂と会うんですよね?」
「え!?なんで分かったぜよ!?」
「なんとなくです」
薬のおかげで、痛みは薄らいできたものの、体に力が伝わらない。
最後の見せ場だというのに、横になりたいという誘惑に駆られる。
かたわらにあった木の幹にすがりつこうとするが、その腕でさえあがらない。
足はあがらず、息だけがあがる。
胸が悲鳴をあげる。
呪符を流せるような場所までは、とてもたどり着けそうにない。
足を伝い沓にまで入り込んだ血が、ぐずぐずと音をたてる。
頭がうずく。
気がつくと地面が目の前にあった。
落ち葉が顔に張りついている。
何かにつまずいたのだろう。【男女脫髮】髮線後移點算好?詳解原因&治療方法! -
必死の思いで体を起こしたものの、呼吸ひとつするにも苦痛がともなう。
体が震えはじめた。
くそっ!
この大事に、なんというありさまだ。
それに比べ、
――イダテン、おまえはたいしたものだ。
腕も立つ、頭も良い。
わしは、おまえがうらやましい。
――今、このとき限りでよい。
おまえと同じ力が欲しい。
人のものならぬ、その力が欲しい。
お前の力を手に入れることができるのなら、わしは喜んで鬼となろう。
人に忌み嫌われようが、地獄に落ちようが、虫けらに生まれ変わろうが後悔などしない。
鷲尾小太郎義久が名が、悪名として国中に鳴り響こうが、後世に残ろうがかまわない。
姫さえ守ることが出来るなら、何ほどのことがあろう。
どのような代償とて喜んで払おう。――だが、体は動かなかった。
みぞおちが締めつけられ、震えが走る。
寒けに襲われ――目の前が次第に暗くなり苦痛が遠のいた。
ぼんやりと、母者の姿が浮かび上がった。
微笑んではいるものの、その口もとは心配げに歪んでいた。
「必ず名を上げる。出世して帰ってくる」
覚悟を口にした。
母者の隣で、三郎が拳を握りしめ、火照った顔で笑みを浮かべた。
「兄者ならば鷲尾の家を再興できよう」
その隣で、いつもは気難しいおじじが別人のように微笑んでいる。
「武士の矜持を忘れてはならぬぞ。よいな義久」
母者は、なかなか声をかけてくれなかった。
別れ際にようやく、
「体にだけは気を付けるのですよ」
と、一言告げて背を向けた。
まるで、涙をこらえるかのように。
何を心配しておるのだ。
わが名は、鷲尾小太郎義久ぞ。
皇子を守るために、盾となったヨシノモリが末裔ぞ。
心配などいらぬ。
必ずや、先祖の名に恥じぬだけの武名をあげてみせよう。
苦労を掛けた母者が、あれが、わが息子よと胸を張って自慢できるだけの手柄をあげてここへ帰って来るのだ――それができぬなら、二度とこの地を踏まぬ――そう覚悟を決めていた。
大伯父の口利きで、備後国の安那様のもとで郎従として働くことが決まっていた。
そこに向かう途中で行方をくらました。
宗我部の懐に潜り込むためだ。
むろん、正体を知られれば、なぶり殺されるだろう。
おじじや母者を脅す駒として使われたあげくにだ。
――ああ、そのような性質だと承知しているからこそ心配なのか。
今になって気がついた。
無謀で世間知らずの息子が、夫同様、自分より先に逝くのではないかと。
三郎が、おじじが、そして母者が、手を差しのべてきた。
もう良いのだと、皆が笑っていた。
お前は兼親を葬ったではないか。
一矢報いたではないかと。
あれは、手柄と口にできるものではない、と応えるが、それでも皆が手を差し伸べる。
――待て、待ってくれ。
わしには、まだ遣り残したことがある。
一人でも多く、わずかの距離でも引きつけねばならない――つぶやくように口にした。
「……イダテン……」
「姫、こっちじゃ!」
呼応するようにイダテンが叫んだ。
いや、イダテンではない。
イダテンの姿をとった呪符が叫んでいるのだ。
遠のいていた意識が戻ってきた。
このまま逝くわけにはいかない。
父の最期を、母と三郎の最期を、そしておのれの無念を思い描いた。
ああ――そうじゃ。
一言じゃ。一言でよいのだ。
八幡大菩薩よ、最後の願いじゃ。
わしに力をくれ――せめて、おのれが役に立てたと思うほどに。
いながら頷くのであった。
──その日の深夜。
齋の局は、御殿内の見回りの為に、月明かりに照らされた奥向きの廊下を、しずしずと歩いていた。
片手に持ったで辺りを照らしながら、などがんではいないかと、しっかり目を光らせている。
くして、齋の局が正室の御座所の近くを通りかかった時
「……きゃあああ!!」
ふいに寝室の方から、濃姫の叫び声が響いて来た。
齋の局は驚いて、一目散に濃姫の寝室の前へ走り行くと
「御台様!? 今の悲鳴は…、なされたのです!?」
告げながら、寝室の襖を大きく開け放った。【男女脫髮】髮線後移點算好?詳解原因&治療方法! -
入口の襖の手前には紗のが置かれており、濃姫の姿はそれをてた奥にあった。
白い寝間着姿の濃姫は、絹布団の上に上半身を起こして、荒々しい息をいている。
その傍らには、次のをしていた侍女が寄り添い、懸命に主人の背をっていた。
「…御台様は如何なされたのです!?」
齋の局は軽く目を見張りつつ、濃姫の枕元まで歩を進めた。
「──お局様」と、宿直の侍女は齋に会釈すると
「それが…、何か悪い夢をご覧になられたご様子で」
「夢?」
齋の局が眉をひそめると、濃姫はそっと顔を上げて
「──大丈夫じゃ。そなたは宿直のお役目に戻りなされ」
「されど」
「齋も参ってくれた故、もう平気です。お下がりなさい」
そう言って、戸惑い顔の侍女を次の間へと戻した。
侍女が去ると、齋の局は着物の袖からを取り出して
「かように汗をお流しになされて…。よほど夢見がお悪かったのでございますね」
濃姫の額の汗を手早く
「………あの夢であった…」
「はい?」
「……あの夢じゃ。…京の本能寺の」
茫然としてく濃姫の横顔を、齋は一驚の表情で見つめる。
「以前にも話されていた、上様が火にまかれる、あの夢でございますか!?」
濃姫は力なく頷いた。
「で、ですが──あれはでご覧になられた、総見寺の光景であったとっていたではありませぬか?」
齋の局の言葉に、濃姫はゆっくりと顔を上げ、のように両眼を細める。
「……私もそう思っていた…。いや、そう思おうとしていたのやも知れぬ」
「御台様」
「なれど…、夢の中に出て来る、あの古いの像は、私がかつて本能寺で見た物……間違いない」
濃姫は確信を持ってそう言った。
「されど、その夢はここくは見ておられなかったのでございましょう? に今になって」
「それは分からぬ……なれど」
「 ? 」
「今宵見た夢は、今までのどの夢よりも鮮明であった。…炎の熱さ、煙の匂い、上様のお声……何もかもが生々しきものであった」
そう呟くなり、濃姫はハッと双眼を見張ると
「よもや、夢がになろうとする前触れなのではあるまいか!? じゃから、これまでよりも鮮明な光景が見えたのではなかろうか!?」
思わず齋の局の腕を掴み、激しく揺すった。
「お気をお静め下さいませ! ただの夢ではありませぬか!」
「これはただの夢ではない!既に幾度も見ているのですよ!? 偶然な訳がない!」
「あまりに印象の強い夢であった故、御台様の脳裏に焼き付いているだけでございます」
錯乱気味の主人を落ち着かせようと、齋の局は冷静に語り出した。
「事実、その夢はいつも不意に、思い出したようにご覧になられるのでございましょう?
何か神仏からのお告げのようなものならば、それこそ毎夜のようにご覧になられているはずです」
「──」
「元より御台様には、左様な夢をご覧になるような妖力など備わっていないのですから、ご心配には及びませぬ」
「…齋」
「それに、上様にも、この夢のことをお話しになられたのでございましょう?」
「……盂蘭盆会の夜に、少し…」
「ならばごには及びませぬ。何しろ、上様が本能寺へ参らなければ良いだけの話なのですから」
濃姫の手が、思わず齋の局の腕から離れた。
「安堵致せ。儂は何も死にに行く訳ではない。そなたの親父殿に会うだけじゃ」
「されどそれは…」
「心配には及ばぬ。ようは、蝮殿に分からせてやれば良いだけの話だ。
無闇にこちらの命を奪うよりも、儂と手を結んだ方が得策であるという事をな」
「左様な事が、出来るのでございますか?」
「出来る出来ないではない。そうせねばならぬ、必ずな」【男女脫髮】髮線後移點算好?詳解原因&治療方法! -
信長の決意的な言葉に、濃姫の心が揺れた。
「多かれ少なかれ、蝮殿とは膝を突き合わさねばならぬ運命じゃ。
今 蝮殿に見放されたならば、儂は確実に反対勢力に押し潰されよう。
そうならぬ為にも、蝮殿には、この信長の後ろ楯であり続けてもらわねばならぬ」
「…殿」
「何を弱々しい声を出しておるのだ。案ずるな、何かあったとしても儂はそう易々と討たれはせぬ」
「……」
「儂を信じておるのであれば、最後まで信じ続けよ。
儂に生きて帰って来てほしいのでなれば、それを祈り続けよ。
儂を愛しゅう思うているのであれば……その想い、微塵も揺るがすでないぞ」
その刹那、姫の潤んだ瞳から、一滴の涙が雫のように零れ、彼女の薄紅色の頬をつたった。
信長はそれを見るなり、ふっと穏やかな微笑を浮かべると
「泣くな。そなたに泣かれたら、儂はどうしたら良いのか分からなくなる」
涙で濡れた姫の頬を優しく撫でた。
「そなたの笑った顔が……儂は好きだ」
「──」
「お濃の、微笑む顔が見たい」
吐息のように熱い信長の囁きが、真っ赤に染まった姫の耳をくすぐった。
「微笑む顔が見たい…」
今一度信長の口から囁きが漏れると、その口は蜜を求める蝶のように、濃姫の額、頬、そして首筋へと流れるように吸い付いてゆく。
愛撫を受けたところがジンと熱くなり、濃姫の身に恍惚の波が押し寄せた。
火照り始めたその華奢な身体は、信長の執拗なまでの攻めにより、瞬く間に薄桃色に染まっていった。
しっとりと汗ばんだ姫の肉体から、何とも言えぬ甘美な薫りが漂って来る。
その薫りに、信長は自分の中の“男”を目覚めさせ、姫の中の“女”を求めた。
濃姫はされるがままであったが、信長の手が着物の脇の間を通り、牡丹の蕾のような双乳(もろち)に触れた時は、
さすがの姫も、足先をギュッと内へ丸め込み、大きく全身を捩(よじ)らながら品なく喘いでしまった。
信長の大きなごつごつとした手が、胸から腹部へ、更に下部へと、まるで一匹の生き物のように這い回る。
姫はその一つ一つを敏感に感じ取りながら、酔ったようになめまかしく荒い吐息を漏らし続けた。
『 ひどい信長様…。何故このような時に限って、濃の身を弄ばれるのか… 』
逞しき夫の腕に抱かれながら、濃姫は悔しさを募らせていた。
信長の身を心配し、何とかして父との会見を見送るよう説得しに来たというのに…。
その信長に良いように窘(たしな)められ、挙げ句、その詫びとばかりの執拗な愛撫を受けているのだ。
本当ならば、彼の手を振り払って『もうご勝手になされませ!』とでも叫んで、退室すれば良いのであろう。
が、濃姫には全くそれが出来なかった。
惚れた弱味というものが、これ程に強力で恐ろしいものとは──。
濃姫は、心とは裏腹に夫の愛撫を求め続ける己の身を顧みるにつけ、つくづくそれを感じ取っていた。
しかし、快楽に耽る男女に起こるお約束事というのであろうか?
「──御免つかまつりまする」