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いながら頷くのであった。
──その日の深夜。
齋の局は、御殿内の見回りの為に、月明かりに照らされた奥向きの廊下を、しずしずと歩いていた。
片手に持ったで辺りを照らしながら、などがんではいないかと、しっかり目を光らせている。
くして、齋の局が正室の御座所の近くを通りかかった時
「……きゃあああ!!」
ふいに寝室の方から、濃姫の叫び声が響いて来た。
齋の局は驚いて、一目散に濃姫の寝室の前へ走り行くと
「御台様!? 今の悲鳴は…、なされたのです!?」
告げながら、寝室の襖を大きく開け放った。【男女脫髮】髮線後移點算好?詳解原因&治療方法! -
入口の襖の手前には紗のが置かれており、濃姫の姿はそれをてた奥にあった。
白い寝間着姿の濃姫は、絹布団の上に上半身を起こして、荒々しい息をいている。
その傍らには、次のをしていた侍女が寄り添い、懸命に主人の背をっていた。
「…御台様は如何なされたのです!?」
齋の局は軽く目を見張りつつ、濃姫の枕元まで歩を進めた。
「──お局様」と、宿直の侍女は齋に会釈すると
「それが…、何か悪い夢をご覧になられたご様子で」
「夢?」
齋の局が眉をひそめると、濃姫はそっと顔を上げて
「──大丈夫じゃ。そなたは宿直のお役目に戻りなされ」
「されど」
「齋も参ってくれた故、もう平気です。お下がりなさい」
そう言って、戸惑い顔の侍女を次の間へと戻した。
侍女が去ると、齋の局は着物の袖からを取り出して
「かように汗をお流しになされて…。よほど夢見がお悪かったのでございますね」
濃姫の額の汗を手早く
「………あの夢であった…」
「はい?」
「……あの夢じゃ。…京の本能寺の」
茫然としてく濃姫の横顔を、齋は一驚の表情で見つめる。
「以前にも話されていた、上様が火にまかれる、あの夢でございますか!?」
濃姫は力なく頷いた。
「で、ですが──あれはでご覧になられた、総見寺の光景であったとっていたではありませぬか?」
齋の局の言葉に、濃姫はゆっくりと顔を上げ、のように両眼を細める。
「……私もそう思っていた…。いや、そう思おうとしていたのやも知れぬ」
「御台様」
「なれど…、夢の中に出て来る、あの古いの像は、私がかつて本能寺で見た物……間違いない」
濃姫は確信を持ってそう言った。
「されど、その夢はここくは見ておられなかったのでございましょう? に今になって」
「それは分からぬ……なれど」
「 ? 」
「今宵見た夢は、今までのどの夢よりも鮮明であった。…炎の熱さ、煙の匂い、上様のお声……何もかもが生々しきものであった」
そう呟くなり、濃姫はハッと双眼を見張ると
「よもや、夢がになろうとする前触れなのではあるまいか!? じゃから、これまでよりも鮮明な光景が見えたのではなかろうか!?」
思わず齋の局の腕を掴み、激しく揺すった。
「お気をお静め下さいませ! ただの夢ではありませぬか!」
「これはただの夢ではない!既に幾度も見ているのですよ!? 偶然な訳がない!」
「あまりに印象の強い夢であった故、御台様の脳裏に焼き付いているだけでございます」
錯乱気味の主人を落ち着かせようと、齋の局は冷静に語り出した。
「事実、その夢はいつも不意に、思い出したようにご覧になられるのでございましょう?
何か神仏からのお告げのようなものならば、それこそ毎夜のようにご覧になられているはずです」
「──」
「元より御台様には、左様な夢をご覧になるような妖力など備わっていないのですから、ご心配には及びませぬ」
「…齋」
「それに、上様にも、この夢のことをお話しになられたのでございましょう?」
「……盂蘭盆会の夜に、少し…」
「ならばごには及びませぬ。何しろ、上様が本能寺へ参らなければ良いだけの話なのですから」
濃姫の手が、思わず齋の局の腕から離れた。