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「名付け方は安易であったが、濃という名の響きを聞くと、何やら美濃一国をこの肩に背負っているような気になれて快い。
帰蝶の名も大切じゃが、他家に嫁いでまで“帰る蝶”では、些(いささ)か縁起が悪いではないか」
「そうかもしれませぬが…」
「それに、立場が変わるのに合わせて、名乗りを改めるのはよくあることじゃ。
斎藤家での私は帰蝶。されど織田家では濃姫。…そんな風に使い分けることに致します」
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妙なところで楽観的になる姫を見て、三保野は先行きの不安を感じていた。
そんな時、居間へ通じる横の襖が左右に開き、奥から千代山が顔を出した。
「姫君様。お支度は整いましたでしょうか?」
「はい。粗方」
「でしたら、どうぞお居間の方へ。姫君様にお教え事がございます故」
「先ほど申していた、ご指南とやらですね?」
「左様にございます」
千代山が微笑んで額づくと
「今参りまする。──三保野」
濃姫は肩にかけていた当て布を三保野に取ってもらい、すたすたと居間の方へ移動した。
茵がのべてある上座に濃姫が三保野を背後に付けて座ると、千代山はその御前に控えて、軽く礼を垂れた。
「姫君様におかれましては、此度のご婚礼の儀、まずは滞りなくお済みのこと、心よりお喜び申し上げます」
そう白々しく述べる千代山を、三保野はチラと一瞥して
「…いったいどこが滞りなくです」
と、濃姫の気持ちを代弁するように呟いた。
しかし千代山は三保野の呟きなど完全に無視し、濃姫だけを見据えて話し続ける。
「これより姫君様には御寝所の方へお移りいただき、“お床入りの儀”と相なりまするが、
そのお床入りに備え、私の方から少しばかり、お手解きをさせていただきまする」
そう言うと千代山は、脇に置いていた漆塗りの蒔絵(まきえ)箱を手に取った。
「これを姫様に。今宵のご参考になればよろしゅうございますが」
言いながら箱を濃姫の前に差し置いた。
「これは?」
「中に絵巻物が入っておりまする」
「絵巻物…」
「ご覧になられますか?」
濃姫は戸惑いつつも、静かに頷いた。
「では──」
と、千代山は箱の蓋を開け、中に入っていた巻物を丁寧に取り出してゆく。
その巻物を今度は濃姫の膝元近くに置くと、千代山は上紐を解き、巻物を素早く、転がすように広げていった。
右から左へ、ころころと巻物が広がってゆき、中の絵物語が露になってゆく。
その絵を見た瞬間、三保野ら侍女たちは顔を赤らめて、思わず手で口元を覆った。
逆に濃姫は、眉をひそめながら絵巻と千代山の顔を交互に眺めた。
「…これは、何なのです?」
「都の絵師に描かせました、枕絵にございます」
「枕絵?」
「ほれ、このように、男女が閨で致す睦み事のあらましが順々に描かれておりまする」
千代山が更に巻物の先を広げると、抱擁や接吻から始まった絵が、急に男女の裸体絵に変わった。
そこまで見てようやく濃姫も
「ま…!」
と、三保野たちと同じように赤面した。
「ご覧のように、殿方が閨でなさる行為は様々にございます。上から始まり…徐々に下へ」
「─!」
「時にはこのような体勢でも」
「─!!」
巻物が広げられてゆくにつれて、濃姫や三保野たちの目も大きく広がっていった。
特に重要な箇所があまりにも大きく大胆に描かれている為、濃姫は恥ずかしくなって、思わず目を逸らしてしまう。