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吉田が帰った後,三津はこの家の事ぐらいはきっちりしておこうと家事に勤しんだ。
『急用って何やったんやろ。』
今回は夕餉はどうするかも先に休んでいいかも分からない。
それよりも帰りを待って面と向かって謝りたかった。
他に怒ってる事はないだろうか。至らない所を教えてもらって直さなければ。
そればかりを頭の中で巡らせて桂の帰りを待った。
『遅いなぁ……。』 https://domoto63.blog.shinobi.jp/Entry/27/ http://eugenia22.eklablog.net/-a215515179 https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202402280000/
夕餉も一緒に食べたくておにぎり一個とお漬物だけで済ませた軽い空腹状態。
そろそろ寝る時間,目もとろんとなってきた。先に寝てもいいのだろうか。
『アカン……ちゃんと起きてお出迎えしてお帰りなさい言おう。』
そう誓って待ち続けたがいつの間にかうつらうつら居間でうたた寝してしまった。
「小五郎さん?」
気が付いた時にはどれぐらいの時間が経ってしまったのか分からなかった。名前を呼んでその姿を探すも桂はまだ帰って来ていない。
『寒……。冷えてもた……。』
三津は待つのを諦めて布団に潜り込んだ。
また朝帰りだろうか。隣の空っぽの布団の方に体を向けて眠りに落ちた。
次に目を開けた時にはいつもの穏やかな目でおはようと言ってくれるのを期待した。
でもぼんやりとした視界に映ったのは空っぽの布団。
『帰ってはらへん……。』
何かあったのか,また付き合いで揚屋にでも泊まったのか。
『藩邸行くべきやろか……。もう少し待ってみるべきやろか……。
あれ……?風邪引いたかな?』
頭痛がするし何だか体が変だ。
「けほっ。んー……喉も痛い……。兄上に診てもらお……。」
ふらふらしながら布団を抜け出し身支度を整えようとした途端に視界がぐらりと揺れた。
額に汗を滲ませた三津は倒れてしまった。
「……桂さん?もしや家に帰ってないんですか?」
明朝藩邸の廊下を歩く桂を吉田が引き止めた。
着ている物が昨日と同じだ。
「あぁ昨日は対馬藩邸に泊まることになってね。こっちの方が近いからそのまま戻ったんだ。」
「また三津に不安な夜を過ごさせたんですか。」
吉田は盛大に溜息をついて健気に桂の帰りを待つ姿を頭に浮かべた。
「あれから三津はどうしてた?」
「泣いてサヤさん達に謝ってました。
もうあんな姿見たくないんですけど。三津はあなたの傍では幸せになれませんよ。」「俺もう遠慮しませんよ?」
そう言い残して吉田は自室へ入った。
『稔麿が遠慮するのをやめたって三津の気持ちが動く訳あるまい。
サヤさん達に泣いて謝ったのなら,私が言いたかった事は伝わったんだな。』
後で伊藤を迎えによこすかと考えながら着替えをしに部屋に戻った。
朝餉を食べ終えた伊藤は桂の言いつけ通り三津を迎えに家に行った。
『桂さんが帰ってこなかったのを憂いて泣いてなければいいけど……。』
「三津さーん。おはようございます伊藤です。」
呼びかけるも返事はなく,しんと静まり返った家の様子が不気味だった。
「失礼しますね?三津さん?」
玄関に草履はある。外には出ていない。
「お邪魔しますよ?」
恐る恐る中へ踏み込んだ。居間を覗いてもいない。まだ寝ているのか?いや,三津は時間にきっちりしている。そんなはずない。
「三津さん?」
居間を仕切るもう一枚の襖をそっと開けて中を覗いた。
「え?」
足が見えた。まさか……と思い慌てて勢い良く襖を開いた。
「三津さん!?」
寝間着のまま箪笥の前に横たわっていた三津に駆け寄った。
「三津さん!?大丈夫ですか!?三津さん!!」
慌てて抱き起こして呼びかけるも三津は苦しそうに顔を歪めたまま。
『凄い熱……。』
「こご……ろ……さん……?」
「三津さん分かります?ごめんなさい伊藤です。すぐに久坂さん呼びますからね。」
三津を抱き上げ布団に連れ戻す。額の汗を拭ってやり急いで手拭いを冷やしに井戸へ走った。
「もう少しだけ我慢してて下さい……。すみませんすぐに戻りますから。」
隣に延べられた綺麗なままの布団を睨みつけて伊藤は家を飛び出した。